1.これまでの流通経路とは?
近年、鮮度や品質を保ちながら、消費者に小松菜が供給されるために必要なルートが増加しています。これからの農家には、時代と共に変化したマーケティング力が必要になっており、最近では農家のためのマーケティングの本が出版されるほど注目を浴びています。従来の農産物は、生産者である農家から農協などの出荷団体に送られ、卸売市場に出荷されます。卸売市場では、スーパーや八百屋などのお店が購入し、小売業者へと販売されます。しかし、このルートでは生産者から消費者に届くまで多くの事業者や人出が必要になる恐れがあり、中間マージンが高くなる可能性も考えられます。中間マージンは、各工程での手数料がかかり生産者が得られる収入が減ってしまうデメリットがあります。また、生産者は小松菜に価格を決める決定権はなく収穫するまでに多くのコストがかかった場合でも、考慮された金額になるとは限りません。そこため、コストを気にしながら生産を行う必要があるでしょう。
2.流通方法改善策の実現
流通方法の改善策として、さまざまな流通方法が改善されてきました。食品小売業者では、その多くが大手量販店やスーパーで小松菜を占めていることが多いですが、近年では通販や宅配、直売、コンビニなどの流通形態が増えてきています。また、鮮度や品質を保つために情報通信技術を使い、多様な流通形態が可能になりました。全国の生産者と連携し、新鮮な小松菜を各地に整備した集荷拠点にて回収する仕組みを実施しています。この方法を使用することで、生産者には都市部での自由に販売できる流通ルートを提供することができ、所得の向上が期待できるようになりました。さらに、これまでの物流ではトラックが多くを占めていましたが、トラック業界は人で不足が問題になっており、労働時間の見直しが検討されています。新鮮な小松菜を消費者に届けるためには、物流の輸送時間の効率化が大切になります。
そこで、パレットレンタル業者や卸売市場などの出荷先と連携し、小松菜の効率的な積み下ろしを実現しました。改善後は、積み下ろし時間が半分から半分以下へ短縮し、時間の効率化が改善され、鮮度保持のための冷蔵者を使用することで、鮮度が高いまま消費者に届けられることが可能になりました。また、これまで情報通信技術を使用することが少なかった卸売市場ですが、導入を始めたことで効率的な流通の管理やコスト削減だけでなく、販売先の開拓や小松菜の価値を向上することができています。運送でもトラックバースの空き時間が見える化できるようになり、ドライバーに無駄な待ち時間がなく効率的に運送できるようになりました。これからは、価格や品質、安全性などのさまざまな面で消費者の要求が増えていくと予想されています。消費者の生活変化に合わせて、小分けやカットした状態でも販売することなど工夫することで生産者の所得を向上することができるでしょう。