小松菜の生産量
東京都江戸川区が発祥の小松菜は、現在でも関東地区で多く生産されています。生産量の第1位は茨城県で、年間生産量は20,400t、全国シェアは18%近くにもなります。
第2位は埼玉県で、年間生産量は14,300t、全国シェアは約12%となります。埼玉県で特筆すべき点は、小松菜の作付け面積です。約832haあり、これは都道府県面積に対して、小松菜畑の割合が全国で1番広いということになります。
第3位は福岡県で、年間生産量は約12,000t、全国シェアは約10%となります。日本国内での生産量も増加傾向で、生産量の上位は関東地区が占めていますが、最近では福岡県での生産量も年々伸びてきています。
九州の小松菜農家
そんな福岡県に、75棟ものハウスで小松菜栽培を行いながら、多角経営を行う若手農業者がいます。エイチアイ株式会社の代表・稲吉久徳氏は、2015年より大規模農園を経営しながら飲食事業にも取り組み、自社栽培の野菜をメインに使ったレストランも経営しています。レストランで使用する野菜のうち、自社で賄えない分は地元農家さんと連携し、そこから仕入れることで安定供給できるよう工夫しています。
小松菜を中心とした野菜をハウス内で栽培し、年中種まきと収穫を繰り返しながら、年間7作の作付けを行います。ベトナムからの研修生も雇用し、彼女たちが収穫作業の大半を担っています。迅速で丁寧な収穫作業で、慣れた方だと1時間に約140個も袋詰めができるそうです。年々事業を拡大していく中、将来的にはベトナムに帰国した研修生が現地でも仕事に就くことができるようにと考え、海外進出も視野に入れています。地元農家との繋がりも大切にしながら、大規模な事業拡大をしている注目の農業人です。
同じ九州の熊本県で、県内唯一の小松菜専業農家であるおつづき農園さんは「地産地消を100%に」といったコンセプトをもとに、日本一の熊本の地下水を100%使用して小松菜を栽培しています。野菜はほとんどの成分が水分でできていることから、良い天然水を使うことで良い野菜が育つというわけなのです。小松菜に特化した農業形態のため、品質保持には並々ならぬ努力をしています。年間を通じて栽培しているため、種まきの量を季節ごとに調節し、毎日収穫できるように調整しています。一番美味しい状態で小松菜を消費者に届けるため、収穫したその日に出荷できるよう工夫しているのです。
また、収穫した時から鮮度が落ちていく小松菜を、できるだけ新鮮な状態で消費者へ届けられるよう、ハウスには99%日光を遮光できる資材を被せ、収穫作業を行います。コロナウイルスにも配慮し、マスクと手袋を着用した従業員が畑で梱包までを行い、収穫後1時間以内には6℃の冷蔵庫に詰め込み、運搬も冷蔵でできるように徹底しています。
県の特別栽培農作物であるおつづき農園の小松菜は、化学肥料や農薬も慣行レベルの半分以下で栽培されています。天然地下水を利用し、低農薬栽培、そして鮮度保持に対する並々ならぬ努力で、美味しい小松菜をみなさんの食卓へと届けているのです。