大阪の小松菜農家
関東を中心に食されていた小松菜は、1980年ごろの関西では知名度も低く、生産農家もありませんでした。そんな時代に、大阪府堺市にある農業法人株式会社しものファームは、関西発と言われる小松菜の生産と出荷を始めました。
先代社長が、小松菜は栄養価が高く、生育期間も短いため、土地を有効利用できる連作が可能な作物であることに目をつけ、専作を始めたのです。しものファームの小松菜農園は、約5500坪の大型連棟ハウスです。「長峰ハウス」と名付けられた巨大な大型鉄骨ハウスは16連棟、12連棟とが高台に並び、年間供給量は340tとなります。ハウス内は全体に防虫シート、防草シートが施されています。センサー付きの自動開閉天窓装置や温度管理の装置、自動灌水装置など、隅々まで機械化が行われています。
もともとは粘土質であった土壌には、ミネラル分を多く含む国産の海砂や砂利を配合して改良を行ったのです。農園で使用する土や堆肥、肥料は全て有機成分を使用し、地下200mから組み上げた天然水を水やりに使用しているのです。「安心して食べてもらえるものを育てる」という信念のもとに、減農薬栽培にいち早く取り組み、冬場は完全無農薬、夏場でも2−3回の使用で栽培を行っています。
小松菜は緑黄色野菜の一つで、栄養価も高く、調理しやすいという利点から需要が高く、品種改良が進んでいます。200品種以上あるという小松菜の中で、しものファームではひとみ種を中心に、年7回栽培を行います。この品種は病気に強く、高温期でも栽培しやすいのが特徴で、葉茎は強く折れにくいので収穫、結束作業が容易です。また、葉色が濃く、軸は柔らかいのにしっかりと立っているので、姿美しく育ちます。緑が濃いというのは栄養が行き渡っている証拠なので、まさに味よし、姿よし、身体によしの野菜というわけです。
5月27日は小松菜の日
2006年に、現在の社長である霜野要規氏が「しものファームの小松菜を食べて、健康で元気になってほしい。」との願いを込めて、5月27日を小松菜の日と制定しました。こ(5)まつ(2)な(7)の語呂にちなんでおり、日本記念日協会より認定登録されています。
安全な野菜をまず地元に届けたいと願う、しものファームの小松菜は、以前は府外にも出荷していたものの、最近では堺市内での販売を優先し、地産地消として地元スーパーや学校給食へ卸しています。大阪エコ農産物として早くから認証されている安心安全な小松菜は、地元スーパーでも人気が高く、一度食べると他の小松菜は食べられないと言わしめるほどの人気商品となっています。
「農業を次世代へと継承すること」を更なる目標と掲げ、「若い世代へ、農業を誇りに感じて欲しい。」と熱く語る社長は、自身が父の背中を見て育ち、憧れを抱き、就農しています。その熱い思いはご自身の娘さん、息子さんが将来は農業に関わっていきたいと言っていることからもわかるように、新しい世代へと脈々と引き継がれているのです。